フランスのハードウェアウォレットメーカー、Ledger(レジャー)は米国での新規株式公開(IPO)の計画を一時停止した。暗号資産取引所クラーケンも同様に上場を見送り、暗号資産業界にとって最大規模になるはずだった上場ラッシュが鈍化している。
事情に詳しい関係者によれば、Ledgerは米証券取引委員会(SEC)への機密S-1届出を行っておらず(米国上場への正式な第一歩)、今後はプライベートでの資金調達を検討する可能性がある。
Ledgerは今年初め、ゴールドマン・サックス、ジェフリーズ、バークレイズを米ニューヨーク証券取引所上場の主幹事に起用していた。想定評価額は40億ドル超とみられていた。
今回の一時停止により、この主幹事指名は棚上げとなり、2026年の上場案件から注目度の高い暗号資産関連企業が外れることになった。
クラーケンは昨年11月に機密裏で届出を行ったのち、本年3月に自社のIPO計画を延期した。取引所の評価額は昨年の最高値200億ドルから本年4月には133億ドルに低下し、パブリック市場が既に暗号資産事業者への評価を割り引き始めていることを示している。
上場計画の一時停止にはリスクが伴う。既存のLedger投資家や従業員は短期的なイグジットの機会を失い、セカンダリー市場での株式売却が主な流動化手段となる。
同社は3月に5000万ドル相当の株式を売却し資金調達を実施したが、プライベート市場の調達規模はパブリック市場には及ばない。
本年唯一、米国上場を完了した暗号資産企業BitGoは、1月に1株18ドルで上場したが現在は12ドル付近まで下落し、公開価格を30%超下回る状況にある。
こうした実績が示す通り、同業他社には投資家の需要を探るよりも様子見を選ぶ理由がある。
その一方で、パリ拠点のLedgerは米国事業の拡大を進めている。最近ではステーブルコイン発行者サークルから最高財務責任者を招聘し、銀行向けのエンタープライズ保管サービスの開発にも注力している。
2014年創業のLedgerは、顧客の暗号資産1000億ドル超を保全していると公表している。
2026年後半にIPO市場が再び開かれるかは、トークン価格や取引高、そして次の暗号資産関連上場案件の成否にかかっている。
それまでの間、Ledgerは非上場を維持し、業界全体も動向を見守る形となる。


