ステーブルコインの資金が暗号資産市場内にとどまっており、現金化の動きは鈍い。一方で、その流動性は取引所を経由せず、利回り戦略やトークン化株式、予想市場、現実資産(RWA)などに流入しているとアナリストは指摘する。
この動きは、ビットコイン(BTC)が6万ドルを下回り市場全体が売られる中でも、主要なドル建てステーブルコイン合計供給量が2730億ドル付近を維持している要因の一つとみられる。
暗号資産市場は2026年にかけて全体的に軟調な推移を見せている。ビットコインは昨年末の12万ドル超から下落しながらも、現在は6万4000ドルを上回っている。時価総額全体は2兆1000億ドル前後で、年初来26%減となっている。
通常の下落局面では、ステーブルコインの供給が減少し、トレーダーは現金化して市場から撤退する。しかしアナリストのDarkfost氏によれば、今回はこの現象が見られていない。
Darkfost氏は、テザー(USDT)とUSDCの供給合計が2月初旬には1か月で約80億ドル減少したのに対し、現在は約40億ドルの減少にとどまっていると説明。これらの変動は供給の増減が交互に起きていること、ステーブルコイン全体の時価総額が安定していることを示す。同氏は、資金は暗号資産市場内にはとどまっているものの、取引所への流入が減少し続けている点を指摘した。
10月にはUSDTとUSDCの月間取引所流入が57億ドルに達したが、直近は29億ドルまで減少。年平均も44億7000万ドルから38億7000万ドルに低下している。
年間平均と月間平均の比率は0.77と過去最低水準。市場が最も活発だった時期の流入が非常に大きかったことを示す。
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Darkfost氏は、資金が流入する複数の分野を指摘。ステーブルコインは分散型金融(DeFi)を活用することで、貸付やループ運用により15~20%の利回りも期待できる。こうした利回りは単純な保有と直接競合する。
トレーダーはまた、株式のトークン化商品を購入し、暗号資産の枠組みを維持したまま株式エクスポージャーを確保できる。
このほか、予想市場の拡大も進む。ユーザーは実世界のイベントに賭けることができ、ワールドカップ2026開幕以降、取引高は加速。例えばポリーマーケットでは20億ドル超が動いている。
さらに(RWA)・現実資産も流動性を吸収している。ステーブルコインを除くトークン化RWAは、5月中旬時点でオンチェーン規模328億ドルに達したとRWA.xyzが示している。
従って、データはリスク選好の回復を示唆しない。むしろ、資金は暗号資産分野内の利回り獲得分野で待機しており、積極的な価格追随には向かわずにいる。
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