東京エレクトロン(8035)は現在 ¥72,640(2026年6月17日時点)、当社判断は『中立』。年初来安値¥35,720(1月)からおよそ半年で2倍超に急騰し、6月15日には年初来高値¥74,800を付けた。半導体製造装置で世界3位の東京エレクトロン 株価は、AI向け半導体投資ブームを追い風に独歩高となったが、株価はすでに証券各社の最高目標株価をも上抜けている。本稿では8035の値動きの背景を整理し、急騰後の今をどう評価すべきかをバランスよく検証する。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 現在値 | 約¥72,640(2026年6月17日時点) |
| 52週レンジ(年初来) | ¥35,720(2026年1月)〜¥74,800(2026年6月) |
| 時価総額 | 約34兆円(概算) |
| 予想PER | 約35倍超(推計・高水準) |
| EPS | —(公表確報待ち。高PERゾーン) |
| アナリストコンセンサス | 強気(最上位レーティング継続が大勢) |
| 平均目標株価 | 約¥57,307(直近6か月平均・現値を下回る) |
東京エレクトロン(8035、東証プライム・電気機器)は、半導体製造装置で世界3位の専業メーカーである。コータ/デベロッパー、エッチング装置、成膜装置など、半導体の前工程に強みを持ち、連結売上のほぼ100%を半導体製造装置が占める。海外売上比率は9割を超え、世界の半導体メーカーの設備投資動向が業績を大きく左右する典型的なグローバル装置株だ。
2026年3月期の売上高は約2兆7,435億円(前期比0.5%増)、営業利益は約6,249億円(前期比10.4%減)と増収減益だった。もっとも、期の途中である4〜9月期では純利益が前年同期比36%増と急回復し、来期(2027年3月期)は一転して最終増益が見込まれている。東京エレクトロン 株価が急騰したのは、足元の減益より、AIを起点とした次の設備投資サイクルへの期待が前面に出たためだ。
値動きを追うと、東京エレクトロン(8035)の株価は2026年1月の年初来安値¥35,720を起点に、ほぼ一本調子で水準を切り上げてきた。背景には、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の歴史的な連騰がある。NVIDIAをはじめとするAI半導体の旺盛な需要が、製造装置への投資拡大期待につながり、装置株全体に資金が流入した。日経報道でも、4月下旬には米半導体指数の18連騰を受けて東京エレクトロン 株価が最高値を更新し、5月1日には上場来高値を付けたと伝えられている。
その後も上昇は止まらず、6月15日には年初来高値¥74,800へ。半年で株価が2倍超になった計算だ。短い期間での急騰は、強い需要期待の表れであると同時に、過熱のサインでもある。実際、株価は5月時点で証券各社が設定した目標株価のレンジ(おおむね¥53,000〜¥70,000)を上抜けてしまった。値動きの強さは魅力だが、ここから追いかけるリスクも相応に大きい——というのが、バランスよく見たときの現実である。
東京エレクトロン(8035)の予想PERは35倍超と推計され、過去の平均的なレンジと比べても高い。半導体装置はシクリカル(景気循環)色が強く、業績の山と谷が大きい。サイクルの上昇局面では高PERが正当化されやすい一方、期待が先行しすぎると、設備投資の鈍化観測ひとつで急落する性質を持つ。
| 指標 | 東京エレクトロン(8035) | 評価の視点 |
|---|---|---|
| 予想PER | 約35倍超(推計) | 期待先行。過去対比で高水準 |
| 現値と平均目標株価 | 現値が約27%上回る | 株価がアナリスト想定を超過 |
| 年初来上昇率 | 約2倍超 | 短期急騰による過熱感 |
| 業績サイクル | 来期は最終増益見込み | サイクル上昇期待が支え |
ここで重要なのは、現値¥72,640が直近6か月の平均目標株価¥57,307を約27%も上回っている点だ。通常はアナリスト目標が株価の上に位置するが、東京エレクトロン(8035)では逆転している。これは株価が「アナリストの想定する1年後の水準」を、わずか数週間で先取りしてしまったことを意味する。バリュエーション面では明確に割安とは言えず、むしろ過熱を警戒すべき局面だ。
| 論点 | 強気の見方 | 弱気の見方 |
|---|---|---|
| 需要環境 | AI半導体投資が構造的に拡大 | 投資の前倒し・反動減リスク |
| 株価水準 | 上方修正余地が目標株価に残る | 現値は最新目標すら上抜け、過熱 |
| 業績 | 来期は最終増益、利益回復局面 | 足元は営業減益、サイクル依存 |
| バリュエーション | 成長期待で高PERは許容 | PER35倍超で調整に弱い |
| 外部要因 | 米半導体株高が追い風 | 半導体への関税・規制リスク |
レーティング自体は「最上位継続」が大勢で、証券各社は目標株価を相次いで引き上げている。ただし、その目標引き上げのスピードを株価がさらに上回っているのが現状だ。強気の方向性は共有しつつ、足元の水準では「これから買い増す妥味は乏しい」というのが、強気・弱気を突き合わせた結論である。
東京エレクトロン(8035)に対する直近の主な目標株価は以下のとおり(証券会社名・¥)。多くが2026年5月に引き上げられたが、それでも現値¥72,640を下回るものが目立つ。
最も強気のUBS証券でも目標株価は¥70,000で、現値¥72,640を下回る。直近6か月の平均目標株価は約¥57,307。レーティングは強気が大勢だが、目標株価の水準が株価に追いついていない。したがって、東京エレクトロン(8035)の株価に対する当社判断は『中立』。中長期の成長ストーリーは支持しつつ、短期は「調整待ち・様子見」とし、目標株価の更なる上方修正か、株価の調整を待ってからの対応が合理的と考える。
AI向け半導体への設備投資拡大期待と、米半導体株指数の歴史的な連騰が主因です。年初来安値¥35,720から半年で2倍超に上昇し、6月15日には年初来高値¥74,800を付けました。
当社判断は中立です。中長期の成長期待は強いものの、株価が証券各社の最高目標株価(UBS¥70,000など)すら上回っており、短期は過熱感があります。調整を待って対応する方が無難と考えます。
直近6か月の平均目標株価は約¥57,307です。個別ではUBS証券¥70,000、モルガン・スタンレー¥65,000、野村證券¥60,000などが公表されていますが、いずれも現値¥72,640を下回っています。
予想PERは35倍超と推計され、過去対比でも高水準です。半導体装置はサイクル株のため、上昇局面では高PERが許容されやすい一方、期待が先行しすぎると調整に弱い点に留意が必要です。
半導体への関税・輸出規制、設備投資サイクルの反動減、そして現値が平均目標株価を上回る過熱感が主なリスクです。グローバル装置株ゆえに、外部環境の変化で値動きが大きくなりやすい点も意識すべきです。
免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、金融商品の売買を推奨・助言するものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において、必要に応じて専門家にご相談のうえ行ってください。

